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2003-07-27 (日) [長年日記]

ベンゲル監督の哲学

勝者のエスプリ(アーセン ベンゲル/Ars`ene Wenger) ベンゲル・ノート(中西 哲生/戸塚 啓)

ベンゲル監督のトレーニング方法について、前者は主観から、後者は中西氏の視点から、描かれている。時期的には両者とも、ベンゲル監督がグランパスに来る直前からアーセナルの監督になるまで。

ベンゲル監督による指揮はおそらく哲学にまで昇華されているといっても良いだろう。なかでも「教育」に焦点が当たっているということは注目すべき点だと思う。これはそのまま企業における人材育成にも当てはまる。すべてが示唆的である。特に前者は一読の価値アリ。

ベンゲル監督は唯一絶対のものがあるとは言わない。「試合に勝つことは重要ではない」としながらも「勝つことを目標にしないことはありえない」と、一見、矛盾したようなことを言う。しかし、それは哲学なのだから当然のことなのだ。すべては止揚するのだ。以下、引用ではなくまとめを箇条書き。

  • 私はボールを持っている選手がベストの方法を判断すればよいと思っていたが、選手たちは私が適切だと思う方法を教えることを期待していた。
  • 才能のある選手ほど、試合のメンバーから外されるという仕打ちはこたえるはずだ。そこで「なぜだろう?」と自問するようになる。
  • モチベーションの輪郭は、18歳には決まる(テストによる結果から)
  • ゲームの勝敗ばかりに注目すると、短絡的に考えてしまうようになる
    • 勝ちにこだわると、喜びよりも厳しさや効率を先に考えるようになる
  • 個々の選手の長所にあわせたチームのオーガニゼーションを選択し、次に個々の選手の自己表現を伸ばすよう努めた。
  • 短所より長所
  • どうしたら勝てるか、ではなく、どうやって勝つのがいいのか
  • 日本にいた2年間は自分にとって重要なものと重要でないものを選別する時間だった
  • これ以上日本にいるとヨーロッパに戻れなくなる、というのは厳然たる事実としてある

両者を併せて読むことで、その理解は大きく深まる。特に後者は具体的なトレーニング方法が記述されているため、実際にサッカーのトレーニング教科書となるだろう。

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